曼珠沙華

中村家でもお馴染の彼岸に咲くヒガンバナ(曼珠沙華)が園路のあちらこちらで咲きました 。

この花は内地でも良く見る植物ですが、生まれ(原産)は中国揚子江(長江下流部)で稲作とともに我が国に渡来したと考えられます 。

その理由は自然分布(海流など)で広まったのではなく、人為分布(梱包材や救荒植物)として九州に持ち込まれ、その後沖縄に入ったようです 。

浄土宗の三途の川の向こう側を波羅密多(到彼岸)と云い、あたり一面綺麗な花が咲くことからこの花をヒガンバナ(彼岸花)と云ったことからなずけたようです 。

ヒガンバナの葉は適度の湿りがあり、極度の乾燥から荷物を守ることからミカン輸送の梱包材に使っていたようです。また毒草であるため何度も水で晒して救荒植物としたようです 。

沖縄では「ホージビラ」「シビリンチャー」と云い、球根で増え、種が出来ない3倍体が多く 、「花のときは葉がなく、葉のときは花がない」ことからこの名があります。

中国では腫れもの、湿布剤、殺虫剤、殺鼠剤、糊剤、粘着剤などに使います 。

花言葉は「悲しい思い出」 。

Photo_3

沖縄這杜松

園路の北側に日本庭園(風)の石組みがあります 。その中に小さな植物がひっそり植えてあります 。オキナワハイネズ(沖縄這杜松)と云う植物です 。

普通這っている針葉樹といえば高山のハイマツを思い出す方もおおいでしょうが 、この植物は伊豆諸島と南西諸島(種子島から慶良間諸島)の海岸岩場に生育する日本固有の変種であります 。特に渡嘉敷島では村おこしにこの植物を使っています 。

沖縄では「ヒッチェーシ」と云い、枝が寄り戻るように出るので、「航海に出ても、戻ってくる」ことから船の舳先に付け(航海の安全を祈る)お守りとしたそうです 。

1月から4月中旬に紫褐色の実をつけます 。

Photo Photo_2

琉球紫葛

沖縄ではまだまだ暑い日が続きますが 、反面花や実が綺麗に咲いています 。

中村家の目と鼻の先にこんなつる植物が植えてあります 。良く見るとブドウ科ですが、小さい実がいっぱい成っています。リュウキュウガネブ(琉球紫葛)です 。

琉球は沖縄、ガネブ(紫葛)は九州(特に天草の方言)でヤマブドウ。6-8月に黄緑色の小さな花が咲き、秋に濃紫色の実が成ります 。

植物学的にはエビズルの仲間で、奄美大島より南、八重山諸島の山に生育しているつる植物です 。

果皮には高濃度のアントシアニンが含まれているといわれ 、渡名喜島では村おこしにジャム、ジュース、ワインなどの加工品を作る原料として取り組んでいます。また本島の読谷村でもこのワインを作っています 。

このワイン、味は山梨ワインやフランスワインに劣らない味だそうです 。一度味わってはどうでしょうカ?

Cimg2203 Cimg2204 Cimg2205

平実檸檬

沖縄には沢山のミカン類が有ります(シキカン、クネンボ、タンカンなど)。なかでもシィクァーサー(ヒラミレモン)は最近知名度がかなり上がってきたようです 。

中村家にもこのヒラミレモンの実が成り始めました 。もともと恩納村以北の山中に自生しているもので、台湾にも生育しています。沖縄在来の柑橘です 。

シィクァーサーとは「シィ」が、「クァーサー」が食わせるものからこの名があります 。これは芭蕉布を織り上げる時にこの果汁で洗浄し柔らかくしたことから、由来しています 。

クガニ、カーアチ(カーブチ)、カネブトなどはシィクァーサーを原種として品種改良して作出したものです 。

沖縄では刺身や焼き魚に添えたり、酢のもの、ポン酢として利用しています。また泡盛に加えると美味しくいただけます 。

果実に含まれる成分としてビタミンC,ビタミンB1,クエン酸、カロチン、各種ミネラル、ノビチレンが多く含まれています。ようするに疲労回復、肥満防止、美肌効果、動脈硬化、高血圧予防、血糖値上昇の抑制など様々な効能があるようです 。

Photo Photo_2

極楽鳥花

最近花やさんで見かけることが多くなりました 。此花「ストレリチア」と云います 。中村家庭園には主屋(一番座)東の斜面に咲いています 。

原産地は南アフリカ東ケープ州とナタール州のインド洋沿岸、乾燥地帯に見られます 。

バンクス卿が1773年イギリスに照会したのが始まりで、我が国には明治5年(1872年)に渡来しています 。ロサンゼルス(カルフォルニア州)の市花です 。

ストレリチアは英名で「バード オブ パラダイス」と云い、それを直訳して「極楽鳥花」となずけたのが始まりです 。

耐寒性もあり内地でも冬に室内で育てれば十分育ちます 。試してみてはいかがでしょうか?

花言葉は寛容、恋の伊達物、気取った恋、輝かしい未来 です 。

Cimg2056 Cimg2057

蕃石榴

中村家にはこんな植物が有るんです 。それはグァバ、あるいはバンジロウ、沖縄ではバンスルー。以前はジュースしか製品化されていませんでしたが、最近は果物として出回っているようです 。

もともとカリブ海沿岸、中央アメリカ、南アメリカ北部に自生する植物で 、沖縄には17世紀、琉球王朝時代に台湾より渡来したと云われています 。

グァバとはカリブ海周辺のアラワク語のグァバの木から由来したと云われています。

また沖縄名のバンスルーとは中国語の蕃石榴をファンシューリュウと読むことからバンスルーになったようです。

正式名はバンジロウです。鎌倉時代の武将、伴次郎常善(とものじろうつねよし)が壇ノ浦の戦いの後、琉球に落ち延び、時の王様、瞬天に助力したことで、グァバをバンシロウ(伴次郎)ろなずけたことに由来します。

果実は食用になりますが、中の種を食べ過ぎると下痢をします。葉は健康茶(グァバ茶)として使われています。

主な効能は風邪、がん、高血圧、脳梗塞などの予防に期待できるそうです 。

花言葉は「強健」です 。

Photo Photo_2

白玉葛

沖縄の名物に「氷ぜんざい」と云う食べ物があります 。中には白玉が入っていますが、今日は食べ物ではなく、植物のお話!

文化財庭園には大きなホルトノキが有ります。北東の角小さな灯篭の上にそびえている樹です 。その樹に白い花を咲かせたつる植物が付いています 。これが今日お話しする「シラタマカズラ」です 。

紀伊半島から沖縄、台湾に分布するつる性の低木で、付着根で樹上や岩に着きます 。1月から4月頃に白いまあるい実が付きますが 、この実を白玉にみたててこの名前の由来となりました 。

別名ワラベナカセとかイワズタイと云い、沖縄では「ワラビナケーサ」です。子供が山へ「しばかり」に行った時、このつるで束ねようとしたとき、すぐに切れてしまうことから「童泣かせ」と云っています 。名前が白玉なのですが「ぼそぼそ」として美味しくありません。食べないで下さい 。

Photo

藪蘭、麥門冬

フクギの屋敷林の下、細長く低い葉の植物が有ります 。内地でもよく見かけるとおもいますが、今頃青い花を咲かせています 。

ヤブラン、ヤマスゲ(藪蘭、山菅)といい 、関東以西、琉球、台湾、中国の野山(林縁)で観られます。中国では麥門冬と呼びます 。

薬用植物として昔から知られていて、滋養、強壮、催乳、咳止めなどに使います 。

半日陰でも日向でも良く、乾燥でも過湿でも耐える手間のいらない植物として庭や公園、庭園の下草として人気が高いものです 。

花言葉は「謙遜」

Photo Photo_2

大紫式部

中村家入口(県道146号線)看板に被さるようにはえているのが今日ご紹介する薄紫色の花を咲かせる「オオムラサキシキブ」です 。

秋に紫色に実がなり、その実の美しさを平安時代の作家「紫式部」に因んで付け、内地のムラサキシキブの大型であることから、オオムラサキシキブ(大紫式部)と呼んでいます 。

クマツヅラ科の植物で、沖縄では「ずりぐわーぎ」=華やかな木と云っています 。

実は紫色の染料のほか抽出物から保湿効果、抗酸化効果があることから、止血作用(胃腸の出血、鼻血の止血)や抗菌作用、痔の治療に用いることまた葉汁を皮膚病の外用薬として使っています 。

花言葉は「愛され上手」 。

Photo Photo_2

頷きヘリコニア

中村家お土産屋の裏に造花のような花が咲きました 。沖縄ではよく生け花に使われますが本ものの花です 。

ヘリコニア・ロストラータ(普通ヘリコニア又はウナズキヘリコニアと云う)。バショウの仲間ですが花の形がオウムの嘴(くちばし)に似ていることなどからオウムバナ科とする人もいます 。

原産はアルゼンチン、ペルー(アマゾン熱帯雨林)の低地(湿り気の多い)に生育し 、トリニダートトバコやボリビアの国花になっています 。

花言葉は奇妙な花なので、「注目、脚光」「風変わりな人、独特な個性」など変わった個性を持つ人の喩えとして使われているようです 。

Photo Photo_2